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『月詠 -MOON PHASE-』第1〜5話

izumino2004-11-10

 複数の友人に勧められることが多かったので、追っかけて観ています。
 ネコミミモードだけが話題に登りがちな作品ですが。実際見てみると結構お気に入りに入りましたよ。今期で推したいのは『スクールランブル』とこれになるでしょうかね。前者は一般層にもアピールできる作品として、後者はオタク向けアニメ──即ち「B級アニメ」としての完成度を評価して。
 キモとなるストーリー自体は無いに等しいんですが、意匠(怪奇趣味と相澤昌弘の濃い絵柄を巧くマッチさせている)と演出(要するにアングラ。止め絵や挿入歌の入れ方や、シリアスとコントと美少女サービスの混ぜ方が絶妙)のバランスやテンポの良さだけはTVアニメの水準を軽く超えておりますな。「演出アニメ」という流行り言葉で評するのはあまりにも容易いので、この全体的なフィルムのB級感を是非味わっていただきたい所。


 さてアニメ業界におけるB級映画監督といえば押井守その人なのですが、押井作品が高度なドラマトゥルギーと演出の皮を被りつつその中身にはストーリーなど無く映画論や立ち食いソバ師といった「親父の独り言」しか存在していなかったように、月詠もまた、意匠と演出というベールの下に「ネコミミ萌え」程度しか込められていない、という点において正しく「B級」であると言えましょう。


 それにしても第1、2話は劇場公開にも耐えるような作画クオリティになっていて、こういうフィルムを観るにつけ「日本はアニメーターが不足している」とされる業界の実態が良く解らなくなったりしますな。限られた現役アニメーターが限られた場所で奮闘しているということなんでしょうか。