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最近のプリキュアについて適当に

 「語り」の材料を提供しておきましょうか。


 まず「マニア好みの作品では無くなったのかな」、というのがひとつ。
 初期のプリキュアは一般層もマニア層も構わず取り込もうとするがむしゃらな勢いを感じたものですが、一度子供人気を確保してしまったことでその人気に安寧してしまっている所があるのかもしれません。
 あるいは、キリヤ編の内容が重すぎたことによる揺り戻しが強く効きすぎている可能性もあるでしょう。ターゲット層絞りで悩まずに勢いで突っ走って欲しいもんだと思いますが。


 次に演出カラーの話。
 もっと古典的なクドい演出を多用してほしい。
 70年代、80年代のセンスでオッケーなアニメの筈なのに、いかんせん絵面にケレン味が無い。たまには「画面が暗転して主人公の顔だけ穴から出てキューッと閉じる」オチをやってくれたっていいじゃないですか、くらいの。
 どうも時間軸通りに場面転換をし、プロットをなぞっていくだけの画面構成が続いているのも物足りません。
 第32話では珍しく(「前回のおさらい」以外の)回想シーンが登場しましたが、こういう時間軸いじりは結構目を引いて楽しめるものなんですよ。作画枚数も節約できるし。
 そういえばポルンのホームシックにしても、あれだけ帰りたい帰りたいとわめかせておきながら、何故故郷の美しい記憶を本人に回想させるシーンが無かったんでしょうね?
 故郷を思い起こすこともなく郷愁に駆られるということが心理としてありえるのか。なるほど、あのポルンの癇癪がまったく異様なものにしか見えなかった理由はそこでしょう。
 それにポルンは他人を一個の他者としてまるで認めていないような言動が多くて、それは少しずつ改善されてはいるのですが、では何故彼がそこまで傍若無人な性格に育ったのか、という説明は一切ありません。「王子」という肩書きと人間関係の希薄さ(同世代の友達と遊んだことが無さそうな振る舞い)から、甘やかされつつも孤独であったろう日々を想像してやることはできるのですが、それもまた連想させる描写に欠けているのです。*1彼の生い立ちに関する言及や伏線が少しでもあれば視聴者の印象は変わっていたかも知れません。
 しかし、伏線や動機の見えないドラマはドラマにならないわけです。回想シーンっていう手法は、伏線の張り忘れを無くす意味でも重要視されていいんじゃないでしょうか。*2


 最後に、「子供は子供の姿を見たがらない」ということについて。
 子供っていうのは大人びたいものだから、子供番組でガキ臭いキャラクターを見たがってるとは限らないし、共感しやすいとも限らないんですよ。本当に見たいのは頼りになるお兄さんや綺麗なお姉さんなわけで。
 マスコットキャラにしても、外見は可愛らしくても中身はお兄さんだったりお姉さんだったりする場合が子供番組では多くて(だから声優がオッサン声だったりオバサン声だったりすることも多い)、反対に見たまんま幼児的なポルンはかなり珍しいマスコットキャラだとも言えます。
 でも公式サイトのメッセージなんかを読むとポルン人気はちゃんとあったりするみたいなので一概にダメだとは言えないことなんですけどね。

*1:まぁあの生活感ゼロな光の園で日常描写しろって言われたら演出家はとても困るだろうが

*2:と、アニみての「レイニーブルー」に対する指摘と同じことを言ってるな。こういう作劇レベルでの至らなさはプリキュアマリみてに限らず、最近のアニメ全体に感じるものなので脚本家や演出家個々の資質ではなく業界全体の体質や風潮に問題があるのかもしれない──現場のことは良く解りませんが