HOME : リクィド・ファイア
 移行後のはてなブログ:izumino’s note

大人気漫画家の「その後」とその家族を描く/大月悠祐子『ど根性ガエルの娘』1巻


 『ど根性ガエル』の作者、吉沢やすみの娘にして、自身も漫画家である大月悠祐子さん(旧PNは「かなん」)のエッセイ漫画です。
 まずはWebでも読める第1話を読んでみてください。


 大ヒット作『ど根性ガエル』の後、ヒットに恵まれずスランプに陥った父が、現在に至るまでの姿を「娘」の視点から描いている作品ですが……。
 これ、漫画家の人生に興味のある人だけでなく、漫画家になりたい人も必読の内容ではないかなあと。
 どん底とも言える体験が描かれているわけですが、「他人の人生」を追体験できるドキュメンタリーの内容として、大ヒット漫画家が「なぜその後から仕事を続けられなくなったのか」、その理由を分析するくだりは胸に沁みるものがあります。


 さらに父と娘だけの関係だけでなく、吉沢やすみの奥さん(母)の存在がすごく大きくて、「こんな女性がホントにいるんだ!?」とびっくりしたりも。エッセイ内で描かれる「家族」の姿もとてもユニークです。


 まるっこくてどこか茫洋とした絵柄のためか、人生どん底な話なのに読者が入り込みやすく描写されているのもいいですし、一歩引いたような目線もあるのが、一漫画としても面白いですね。


 ちなみに、ぐるなびで『ペンと箸―漫画家の好物―』を連載している田中圭一さんが特別寄稿を書いておられます。
 その『ペンと箸』において、大月悠祐子さんの弟さんに取材した回があって、そちらを先に読んでみてから『ど根性ガエルの娘』を……という順番で読むのもいいでしょう。

ど根性ガエルの娘 (1)
ど根性ガエルの娘 (1)大月悠祐子

KADOKAWA/アスキー・メディアワークス 2015-11-26
売り上げランキング : 6916


Amazonで詳しく見る
by G-Tools