横書きの洋書は本棚にどう並べるのが「正しい」のか?
ゆるく募集したいんですが、横書きの洋書の、「本棚の並べ方」の傾向を調べた研究ってないんでしょうか?
日本と違って、明確なルールもないらしく、これも「縦書き=右開き*1」書籍の文化と、「左横書き*2=左開き」書籍の文化の差がわかる、興味深い問題だと思います。
まず、洋書の背表紙は「タイトルを横書きにする」「タイトルを倒して上から書く」「タイトルを倒して下から書く」「タイトルを一文字ずつ縦書きする」の4パターンもあります。
一方向に揃っているのならともかく、上から下へ書いているものと下から上に書いているものが混じっていると大変読みづらい。
出版業界では背表紙の文字を上から下へ書く事を「書き下げ」、下から上に書くのを「書き上げ」と言う。
お知らせ
日本語の本も含めて、背文字の書き方には大きく分けて4種類ある。
〔中略〕
背表紙の文字を書き上げるか書き下げるかは、どうやら出版国によって傾向があるらしく
従来はアメリカは主として書き下げ、イギリスでは書き上げが一般的と言われていたようだがこの事に言及した文献は少ない。
現代の日本では、有名な『ドラゴンボール』の背表紙でもわかるように、縦書きの本の背表紙は「左→右」に並べていくようにデザインされていますね。
こうすると、複数巻のナンバリングが「左横書きの数列」のように読むことができ、また、「1巻の表紙」を全巻の先頭に持ってくることができる。
このまま本棚からゴソッと取り出して、台に平積みすれば1巻の表紙を上にして置ける、という寸法です。
「縦書き」のみならず「左横書き」も併用している、現代日本語ならではの、自然な並べ方だと言えるでしょう。
(「現代日本語」ならではというのは、日本語が西洋から「左横書き」を輸入していなかった場合、「縦書きの行移り」に従って複数巻を左向きに並べていたかもしれないということ。)
右開きの横書き本(洋書)は、右に並べるという選択肢と、左に並べるという選択肢が均等にあります。
どちらかが正しく、どちらかにメリットがある、という決定的なポイントはないようです。
それぞれの利点と欠点をまとめてみましょうか。
洋書を左へ並べていくメリット
|
洋書を右へ並べていくメリット
|
洋書を左へ並べていくデメリット
|
ここで重要だと思われる観点は、
「縦書きは冊子本になったときレイアウトを迷わせることが少ないが、横書きは冊子本のレイアウトを複雑にしてしまう」
……ということで、これは漫画論でもクリティカルな問題に近接しています。
背表紙の問題は扱いませんでしたが、ページ上のデザインとして「縦書き」と「横書き」がどう異なるのか……、という泉の漫画論なら『マンガルカ Vol.2』に載っています。
興味があればそちらも読んでみていただきたいところですが、現在品切れ中みたいですね……増刷してほしいですね。
まぁ、横書きは「本の背表紙」を複雑にしてしまうからこそ、欧米社会は本を捨てて電子書籍に向かうことにも比較的ためらいがない、と言えるのかもしれません。
例えば英語版のiBooksの本棚画面では、表紙を前面に出して、左横書きと同じく左から右へ陳列させればいいと考えているようですし。
Reading Books on the iPad: iBooks, Kindle, and GoodReader - TidBITS
- ちなみにこれ、iOSのホーム画面における「アプリアイコンの並び方」と同じなわけですね
余談ですが、アラビア語などの「右横書き」の書籍でも、背表紙の問題は左横書きと同じです。
例えば、右に並べていくケースの利点と欠点。
- 右開きの本を右へと並べていくメリット
- 背表紙が書き下げであれば自然に見える
- 平積みしたとき表紙が上になる
- 前巻の巻末(裏表紙のカバー)と次巻の巻頭(表紙カバー)が接して連続する
- 右開きの本を左へと並べていくデメリット
- 背表紙のナンバリングが文章と逆の横書きになる
海外の現地で本棚をよく知っている、という方がもしおられれば、観察してわかったことなど教えていただければ嬉しいです。
ACME BLOOKS BOOK SHELF ブルックス ブックシェルフ 幅125cm ACME Furniture 売り上げランキング : 197104 Amazonで詳しく見る by G-Tools |