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「学校一の美少女もの」という描き方/森下suu『日々蝶々』

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 ↑第1話試し読みあり。


 去年『マーガレット』で連載が始まった作品なんですが、注目するのが遅れました。最近の連載をまず先に読んでしまったので、急いで既刊を買い揃えたくらいハマっています。


 今年の少女漫画は、ぜひこれを推していきたいくらいですね。


 このブログでは前々から言ってましたが、「学校一可愛い」とか「その作中で一番可愛い/魅力がある/カリスマがある」という描かれ方をするヒロインを見るのが好きで、『日々蝶々』の主人公、柴石すいれんは「高嶺ちゃん」というニックネームがつくほどの「高嶺の花ヒロイン」です。

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 作中では「あまり可愛げのない子(主人公の友達)」<「普通の可愛い子(主人公)」≒「オシャレ次第で綺麗になれる子(ゲストヒロイン)」<「クラスのルックス上位のグループ」<「そのグループで一番の美人」<<<「黒髪ロングの魔女っ子」という段階を踏んでうまく「美少女度」を描き分けており、そこは作画担当の香魚子さんの画力を堪能できるところです。


憧れの魔女っ子と、平凡な人間の少女の描き分け/『魔法使いの心友』1巻 - ピアノ・ファイア


 少女漫画だと、上のエントリで挙げた『魔法使いの心友』の他に、岩館真理子の『アリスにお願い』や、斎藤けんの『花の名前』の描き方が気に入っています。


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 『日々蝶々』は特に、すいれん以外のサブヒロインや一般生徒の女子がちゃんと可愛く描かれていて、「すいれんはそれ以上に可愛い」という比較が強調されているのが理想的。
 まつ毛はバチバチだし、髪はふわふわで透明感があって、しっかり「学校一の美少女」として区別された描き方。


 その可愛さも「男子と女子両方に通じる魅力」があって、「男にモテるから女子に嫉妬される」という嫌われ方をしないのもいいですね。
(※欲望の対象にされるとかはいいんですが、「可愛いから嫌われる」展開は好みじゃない。)


 サブヒロインである小春も水準以上の美少女に見える描かれ方をしてるんですが、彼女がすいれんのことを「超かわいいんですけど」と認めることで説得力も増してきます。


 それに「綺麗すぎて敬遠されてしまうタイプの美人」ではなく、あくまで「彼女にしたいタイプの可愛さで、みんなが憧れている美少女」として扱われているのもよい。

 モブキャラがすいれんに見惚れている描写も多く、モブ視点で美少女に魅了されるような感覚を味わえるのが、「学校一の美少女もの」の言葉にしがたいたまらなさです。

ブコメとしてのパターン外し

 ほとんどの男子から「付き合いたいけど手を出せない」と思われている高嶺の花ですから、「すいれんが好きになった男子にアプローチすれば、ほぼ確実に付き合えてしまう」のですが、少女漫画の主役にしては反則なくらいのスペックでしょう。


 少女漫画の定番パターンだと、そういう美少女は「自分の可愛さが通じない男」にかぎって、「よりにもよって」恋に落ちるパターンになると思うんですが……。
 ところがすいれんの好きになる相手はそのパターンではなく、「硬派なので態度には表さないが、しっかりすいれんを可愛いと思ってる」キャラが担当します。


 じゃあ両想いで話が終わるだろう……と思うんですが、二人とも「口下手」という性格なので(特にすいれんは極端に無口で無表情)、恋愛ものとしてはその不器用さがじれったいドラマを作る感じですね。
 ちゃんと告白して恋人同士になったあとも、どう付き合えばいいのか迷う話だけで充分エピソードになりそうです。


 主人公と相手役がともに奥手なので、三人いる親友キャラ(女子が二名、男子が一名)のアシストがいい味を出してます。
 三角関係を演じてしまうサブヒロインの小春も、実は性格がかなり良くて好感度の高いヒロインです。
 恋の鞘当てとしては「やってらんない」という勝負のはずですが、それでもライバルに嫉妬したりせず、見た目のイメージよりも意外と一途で、ちゃんと恋に向き合おうとする。ライバルが悪役にならない漫画だというのも、いいですね。


 というわけで、個人的な属性を抜きにしても、絵も非常に可愛くて(繰り返しますが主人公以外のヒロインもかなり可愛く描かれてます)、良い漫画だと思います。


 公式サイトの紹介ページを再掲。第1話の試し読みがあります。

集英社 マーガレット公式HP*連載まんが紹介「日々蝶々」 森下suu


 ↓画像付きで参考になるレビュー。


 また、2巻までならKindle版が割安で出ています。3巻はまだ書籍版のみで、4巻は6月発売予定とのことです。


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