16歳×18歳の結婚から始まるラブコメ／水波風南『未成年だけどコドモじゃない』1巻

　『今日、恋をはじめます』の作者、水波風南さんの新作が今日、発売されました。略称は作者本人の希望では『みせコド』。

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　カバーがマット仕様で帯も箔押しという豪華な装丁になっていて、こういう本は手に取るとテンション上がりますね。装丁好きには憧れの仕様。
　作者も気に入っているようですが、こういう装丁が1巻からできるのは『今日恋』のヒットで初版部数が見込めるから、という特例なんでしょうし、その意味でもプレミア感があっていいですね。

　16歳になったばかりの主人公が、「男は18歳、女は16歳になれば結婚できる」の法律通り、二年上のイケメン先輩といきなり結婚するところから始まるラブコメです。

　長期連載をしたあとの漫画家さんって、次作では意識して「前作と逆のことに挑戦する」傾向があると思います。
　この「普通の少女漫画は結婚式で終わることが多いから、逆に結婚式から始めよう」という発想はまさにそれ。

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水波風南

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　他にも、今日恋ではヒロイン：黒髪、相手役：茶髪だったのが、今回はヒロイン：茶髪、相手役：黒髪になっているのも逆なところ。
　髪の色の逆転というのは、他の漫画家さんの新作でもよくある変化ですが（相手役じゃなくてライバルと色を逆にしたりとか）。

　さて、少女漫画のラブコメって「王子様役の見た目に騙されない主人公」がその内面を発見することで恋愛関係になる、という展開が「黄金パターン」なんじゃないでしょうか。前作の『今日恋』もそのパターンでした。
　王子様に惚れている一般女子は「ミーハー」とみなされ、主人公はそのミーハーとは違う「変わった女の子」だから相手に好かれるというやつです。

　『みせコド』は見事にその逆。「王子様役の見た目だけに惚れていた主人公」がその相手からミーハー扱いされて最初は相手にしてもらえないという、これまた『今日恋』の逆パターンになっています。

　でもこの主人公、セレブなお嬢様で理想の高い世間知らずですから、プライドも高くて「初恋」に対する真剣度も相当に高い。
　一度好きになった相手以外と付き合うことは考えられない……、っていう古風な精神構造は『今日恋』の主人公と重なって見えますね。
　初恋や結婚や、ファーストキスなどに感じている一途さが伝わってくるので、この主人公の恋がちゃんと実らないと可哀想な気分になってきます。
　「他の女子とは違う」という差別化は、この一途な部分がそうなんでしょうね（まぁルックス的にもかなりの美少女、という特別感もあるのですが）。

　……っていう風に、最悪な相性の片想いでも、初恋の相手と結ばれるように話が展開していくであろうという、ある意味で「女の子にとって非常に都合のいい」物語が予想されるんですけど、そういう「ヒロインに都合のいいラブコメ」を読むのは好きなんですよねぇ。

　おそらく主人公に片想いしているであろう「サブ王子様」もチラッと登場していたりして、このヒロインがどのくらいモテるのかも楽しみですね。
　かなり期待できる新作でした。