古代の英雄の意外な一面/丹下和彦『食べるギリシア人―古典文学グルメ紀行』
食べるギリシア人――古典文学グルメ紀行 (岩波新書) 丹下 和彦 岩波書店 2012-03-23 売り上げランキング : 39268 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
一昨日は図書館へ資料探しに出掛けていて、いずれ読むつもりだった『食べるギリシア人』を資料のついでに借りてきました。
食文化史の話になるのかなー、と思いきや、ホメロスの描いたアキレウスとオデュッセウスの人物分析から始まるので、アレクサンドロスオタクやエウメネスオタクにも勧められる本だと思います(狭い勧め方)。
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勇士アキレウスはストイックで食事にこだわるシーンがあまりなく、智将オデュッセウスは人間臭くてメシを食うことばかりまず考えるタイプだという。
肉体系の英雄は大食漢であり、クールな頭脳派は食への執着が薄いであろう……という一般のイメージとは逆になってるのが趣深いですね。
著者の丹下和彦さんは西洋古典学が専門で、ギリシア悲劇の翻訳などを手掛けているようですから、考古学的な分析よりも文学的なアプローチから始まるのはさもありなん、と感じるところですね。
まだ通読していないのですが、古代ギリシアの文学に対する新たな切り口、という面で古典好きには楽しめそうな新書本です。