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TVアニメやマンガ連載が「軌道に載るまで」に失敗しないための注意事項

TVアニメのシリーズ構成

 ぼく(泉信行)が『ユリイカ』で参加した「魔法少女アニメ」についての対談や、『ギルティクラウン』のUstなどで語っていたことなのですが。


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 よければそちらを先に参照してみてください(特にUst)。
(むしろ聴きながらこのエントリ読んでくださいw)


 TVアニメのシリーズ構成において、序盤に作り上げられる「観客の中のイメージ」がいかに重要か、ということを語っています。
 いわゆる『24』のシナリオに代表されるような、「海外ドラマ的な急展開」という言葉がありますね。


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 けど、コロコロと話を転がすだけでは観客の気を引くことはできません。
 例えばUstでぼくは、ひとつの基準として「同じ漫才が毎回成立しているか」という表現をしました。
 毎週ドラマが急展開で転がっていた印象の強い『まどか☆マギカ』であっても、キュゥべえのボケ(契約してよ)に対するヒロインのツッコミ(それにはおよばないわ)を「毎週続けていた」からこそ「目先の何を楽しめばいいのか」が客に伝わっていたということです。


 最悪、話の内容がわからなかったり、感情移入できなかったり、シナリオに破綻を感じていようが、「毎週、何を続けているのかだけは理解できる」ことが最低限求められるのでしょう。
 それが、TVアニメにおいては「視聴継続」の動機に繋がるわけですね。

(※これは漫画家、松田未来先生のご意見)


 また、新世紀エヴァンゲリオンもある種のワンパターンが守られていたTVアニメでした。
 毎回どんな話であろうと、使徒第3新東京市に来襲してくるし、ちゃんとネルフはそれを撃退し(撃退できなかったら世界が滅ぶわけですが)、シンジと綾波は生還しますよという。
 エヴァにおいては使徒がボケ、ネルフがツッコミに当たるわけですね。


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 ちなみにうろ覚えなのですが、TV版エヴァの放送時に、林原めぐみさんか緒方恵美さんだったかな? 監督本人だった気もしますが、ラジオ番組で「エヴァはロボットアニメのお約束通りじゃないのが斬新で、まったく先の読めないストーリーですよね」と話を振られたときに「いや、でも使徒を必ずやっつけるのだけはワンパターンですよ(笑)」と返していた記憶があります。


 そのエヴァまどマギを対比させるなら、まどマギも毎週「今週の魔女」をやっつけてはいます。
 でもエヴァと違って戦闘シーンにバンクも使わないし、オペレーターやミサトさんが叫ぶような「お約束の戦闘セリフ」もありません。
 ロボットアニメ的な「戦闘&生還」のパターンよりも、「キュゥべえの勧誘」こそがワンパターンとして繰り返されていたのが『まどか☆マギカ』だった、という指摘ができるわけですね。
(ドラマ的なパターンとは別に、「犬カレー空間が毎週見られる」という映像的なワンパターン感が魔女との戦闘シーンにあったとは思いますが。)


 もちろん、エヴァまどマギは「ワンパターンの伝え方」がうまくいった例であって、うまくいかないケースも多く見られます。
 その「うまくいかない理由」、を考えてみる必要があります。
 話数のかぎられた深夜アニメなどでは、特にそうしたケースになりがちです。
 様々な作品が思い浮かぶんじゃないでしょうか。


 ただ注意しておきますと、「ワンパターンの漫才」を観客に伝えられるかどうか、というのは、(極論すれば)「作品の面白さや最終的な評価」には直結しません。
 どうにもワンパターンの伝達がうまくいってないみたいだが、面白い、というケースもあるでしょう。
 実際、ぼくが三回もUstでトークしているくらい注目しているギルティクラウンが現状そんな感じですね。


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 最初から注目してるような人でないと「どこを面白がればいいのか伝わりづらい」シリーズ構成だろうと思います。
 でも、コンセプトやらテーマやらを評価すると面白い作品です。


 さらに付け加えるなら、そんなシリーズ構成を辛いと感じるのは「たくさん深夜アニメをチェックしなきゃいけないような忙しいアニメオタク」にかぎっての問題だとも言えます。
 普通に「これが初めてハマったアニメです」くらいの気分で観始めた人にとっては、『ギルティクラウン』も普通のストーリー展開に映るだろうと思いますしね。


 それでも、『ギルティクラウン』が海外ドラマ的な急展開を繰り返す中で、「そろそろ話を進めてほしいもんだ」という感想をTwitterで見かけたのが、象徴的だと思いました。


 つまり、お話のフォーマットを「定着」させる前からクリフハンガーで「話を転がして」いると、いつまでもベースとなる部分を飲み込んでもらえなくて、「話が進んでない・始まってもいない」という実際のストーリー進行とは逆の評価をいただくことになるんでしょう。
 これも『ギルティクラウン』にかぎらず、セットアップがうまくいかなかったシリーズにありがちな現象だと思います。

漫画連載のシリーズ構成


 さて、そこから話を「漫画の雑誌連載」に拡げて最近Twitterで語っていました。
 以下から、その内容を改めて書きだしていきます。
 良ければ、みなさんからのご意見なども寄せてください。


 ではまず、「ストーリーの序盤」をなんと呼ぶかは、便宜上のものですから何と呼んでも構わないのですが、ここでは「起承転結の承」と呼んでいます。
 映画の脚本でいう「セットアップ」に近いかもしれません。


 しかしTV番組や雑誌連載は、単体で完結するパッケージではなく、一話一話を区切りながらリリースする必要があることから、起承転結にも特有の作法が必要になってきます。
(※映画や舞台でいう三幕構成は、あくまで単独パッケージ作品のシナリオ作法だと考えてもいいでしょう。)


 この「承」をそれなりに長く描くのは、週刊連載の漫画において特に重要なところです。
 近頃の『週刊少年ジャンプ』における新連載では「承」を着実にこなせないか、注意を払えていない人が多く、きちんと成功していたのは『トリコ』島袋光年くらいだと思います。


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 その点、最近の『バクマン。』は「承をじっくりやらなくても、ゴールに向けて性急に転がした方が面白い連載になる」と言わんかのような主張を作中漫画に対して語っていて、ますます新人作家の「誤った幻想」を助長しかねない。
 月刊の作家ならまだしも、「ジャンプ作家」のお手本として、大変よろしくないと思う次第です。


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  • バクマンの作中連載『リバーシ』に関しては、「セットアップに話数がかからないタイプ」の連載なのだと思いますが


 連載にとって必要不可欠な「同じパターンを浸透させる期間」を引き伸ばしと自嘲するのは、そのパターンの魅力に自信が無いと言っているようなもの。
 魔人探偵脳噛ネウロ松井優征が新人離れしていたのは、パターン話の面白さもしっかり自信をもって描き……、充分な長さの「承」が溜まるのを待ってから話を転がした結果として「連載を引き伸ばさなかった」ところですね。


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 「承」は、その作品の「型」に繋がるとも言えます。
 だからそのパターンが「本当に読者に理解されているのか」という見極めができる作者でないと、どこまでパターンを重ねればいいのか、あるいはどこでパターンを切り上げて「転」に移ればいいのかが難しい気がする……、という意見もいただきました。


 そのために作家や編集者は「先行研究」をしなきゃいけないんですよね。
 松井優征バオー来訪者『THE MOMOTAROH』エリア88などからシリーズ構成(単行本構成)を学んでいたといいます。

松井◆「いかに責任を持って終わらせるか」を最重要に考えてきたので、1巻終了パターンなら事務所を入手するまで、2巻パターンなら弥子が自分の価値に気付くまで、3巻ならXを倒して終了…と物語の幅は決めていました。

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 気負った作家は「必ずここまで描きたい」というゴールを想定するとコケるリスクが高まります。
 松井先生や……、マガジン作家では赤松健もそうなのですが、彼らは「すぐに打ち切られたらこの話で完結させ、次はこのくらいで打ち切られたらこういう話で完結させる」という妥協案をいくつも持って始めるからこそ序盤が安定していて、コケない。


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 序盤のストーリーを「ゴール(メインディッシュ)へと至るまでに必要な前座」としてしか認識しない作家か……、「それだけで客の喜ぶ顔が想像できる自信もあるメニューのひとつ」と認識できている作家か……、の違いなのでしょう。


 ですから、「クライマックスが描けるようになるまで、序盤をなんとか乗り切ろう」という意識ではなくて、「序盤の話だけでも満足できるような展開を続けよう!」という意識(=覚悟)で始まった連載の方が、客はついていきたいと考えるはずだし、生き延びやすいということです。


 これはサンデーの連載についての教訓なのですが、『神のみぞ知るセカイ』の若木民喜も近いことを言っています。

新人だからウケるか心配→そんでもって色々盛り込む→連載始まる→ものすごい面白そうな始まり方→しかし、2話目でそれ以上のものを用意できない→仕方ないから4話目ぐらいで早速衝撃展開→しかしその頃にはページ数が減っていて本線の物語と展開が同時に処理できない→画面上では盛り上がってるけど意味不明→取り返しつかない。


↑こういうことをやってしまう訳ですよ。ボクとか。
〔中略〕
小さい世界で、同じことを繰り返して、少なくとも単行本1巻もたせることを考える。新しい要素を入れない。もたなくなったら、初めて新しい要素一つ入れる。それでまた同じこと繰り返す・・・。こういうことが実現できないと続かないです。

:: 12/14:FLAG169「淵」 | HoneyDipped ::

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 ちょっと前のジャンプ漫画だと、『戦国ARMORS』という新連載がありました。覚えてますか? 明智光秀が主人公の戦国バトル漫画。


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 第一話と第二話はちゃんと、「小悪党退治」の繰り返しからスタートしています。それが起承転結でいう「起」ですね。
 そのバトルのパターン(の中で描かれるキャラクター)を何度か積み重ねて、魅力を表現できれば連載を続けられるかもしれないな……、とぼくは予想していました。


 「予想」していたというのは、逆に「バトルの積み重ね」に手を抜いたらコケるだろうな、という予想でもあるわけです。
 しかし数話にして、伊達政宗という中ボス級のキャラクターを出してしまい、「これはどんなバトル漫画なのか」「どんな主人公なのか」を読者にセッティングする間もなく「メインストーリー」を語り始める有様で、お決まりの打ち切りコースに入りました。
 残念でしたね。


 いい加減、ジャンプの編集部は「明らかに失敗するとわかる連載の立ち上げ」をする前に考えるべきことがいくらでもあると思います。

いわゆる「テコ入れ」についての一考

 ところで、計算ずくで描かれる連載から離れた話をすると。
 ジャンプ漫画にありがちな「中盤からテコ入れが入って全然違う漫画になる現象」にも学ぶべきところがあります。
 漫画として統一感があるかはともかく……、それもまた、序盤を「前座」とみなすでもなく、「序盤のみの魅力で楽しませるつもりだった」ことは確かなわけですから。
 その序盤で積み重ねられたパターンは、「型」として中盤以降の連載でも意味を持つわけです。


 例えばDRAGON BALL幽☆遊☆白書は、どちらも格闘トーナメントのテコ入れによって作風が激変した連載でしょう。
 でも、ドラゴンボールに「ドラゴンボール探し」「武術修行」という序盤のパターンが成立していなかったらどうでしょう?
 幽白に「霊界探偵」「不良のケンカ」というお約束が成立していなかったらどうでしょう?
 悟空が5話目から大人に成長していたり、幽助が5話目から学ランとリーゼントをやめてたら?
 作品としての「型」が乏しくなり、描ける世界の幅もかぎられてしまう想像がつきます。


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 反面教師として、中盤からではなく「序盤からバトルをテコ入れした」ことで中途半端な連載になったと言えるのがめだかボックスです。
 この作品も「ジャンプ漫画は性急に話を進めた方が面白くなる」というメタな発言を出していましたが、そうした思想が裏目に出ている連載だと思います。


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 『めだかボックス』は「ドラゴンボール探し」や「霊界探偵」に比べれば、「目安箱」という「型」の印象が薄く、いかに新キャラクターをたくさん出したり、急展開にドラマを転がしていったとしても、根元が弱い(=「型」に乏しい)ために主人公の魅力が常にグラついている。
 そうした問題を抱えながら、結果的に「急展開に話を転がす」ことのみで人気を維持しているという、ジャンプ漫画としては窮屈そうな作品です。
 テーマ的には好きな作品なので、この「窮屈さ」は非常に残念だと思います。

起承転結という「季節」

 「承」が何を意味しているのかわかりません、という意見が多かったので、定義というほど厳密ではないですが、ちょっと解説を足しておきます。
 ここで触れている「承」というのはまず、


「消去法でいって、物語の起点でも転換点でも着地点でもないもの」


……であって、必然的に「繰り返し・反復が可能な展開」を示すことになります。


 「(グランドストーリーにおける)起点でも転換点でも着地点でもない」という定義は、逆説的に「(ミニストーリーにおける)起点と転換点と着地点を含む」と言うこともできます。
 つまり承を反復するというのは、毎回ゲストキャラを出したりオチのつく話をやっていいという意味でもありますね。


 たしか漫画の講師をしている伊藤剛さんから聞いた話なのですが。
 専門学校で漫画を学んでいる学生は、「起承転結」という言葉に囚われすぎて「クライマックスを物語の後方に持っていってしまう」傾向があるそうです。
 実際、クライマックス……一番感動したり衝撃を受けるところは、物語の最後の方にあるっていう気がしますよね。
 しかしです。読者に「ああ、まだ物語の承なのか」と感じさせた時点で起承転結の作法は失敗している、と考えるくらいの方がいい。


 要するに、性急に話を転がして早くクライマックスに向かおうとするのと同じくらい、バカ正直に「クライマックスのための説明」をイチから始めるのもやはり面白くない、ということでしょう。
 

 「承」そのものが「起転結」をいくつも内包してもよい(いなければならない)、というのは、回想シーンだろうが倒置法だろうが構わないので、とにかくメインディッシュを先に出しなさいということ。
 それから必要な説明を重ねていく「起・転・承承承・転・結」でもお話はうまく回るものです。


 ちなみに起承転結という言葉そのものは漢詩「起承転合」に由来します。

 さらに中国において「四」という数の構成は易でいう四象に通じますから、東洋医学用語の「発生・生長・収斂・閉蔵」に置き換えてぼくはイメージすることがあります。


 春夏秋冬の変化に当てはめると、春に芽吹く「発生」から、夏に草木が伸びる「生長」
 一年の中で、もっとも活発な時期が夏=生長の季節であって、「承」も夏のように活気あるエネルギーが求められる期間なのだ……というイメージで語ってもいいでしょうか。


 2008年、『週刊少年マガジン』の森田浩章編集長を招いた講演を聴講したときの話も興味深いものでした。
 いわく、連載漫画家と担当編集者にとって、漫画の連載とは「立ち上げから軌道に載せるまで」が最も「充実して楽しい期間」だというようなことを仰っていました。
 それだけ大変なエネルギーを「承」の時期に投入すべきなのでしょう。
 そして、むしろ軌道に載せてからの連載は苦しい「作業」に近いところがあるとも言えるようです。


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 企画段階から立ち上げまでの過程が「発生」、連載を軌道に載せる承の段階が「生長」、そして本来描きたかったテーマなどを回収したり、展開の幅を拡げていく局面を転=「収斂」と呼ぶことができるでしょう。


 もちろん、「有終の美を飾る」ための期間である結=「閉蔵」にも、必要な注意事項があります。
 でもそれは、また別の機会に詳しく話をしてみたいですね。