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『ザ・セル』のターセム監督が『300』のスタッフと製作した『タイタンの戦い』ばりのギリシア神話映画『インモータルズ ─神々の戦い─』

 先日のニコ論壇出演のための上京中、合間を見つけて観賞してきました(新宿バルト9の3D版)。



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ザ・セル』のターセム・シン監督が、『300』のスタッフと共に製作した、『タイタンの戦い(2010)』みたく金ピカなオリンポスの神々が出る映画……ということで「観にいかない理由が見当たらない映画」でした。


 って、上記の三要素がなぜ「観にいかない理由が見当たらない」に繋がるのか、よくわかんないと思いますが、どの映画も好きな人ならこの複雑な気持ちはわかってもらえるでしょう。
 「また映画レビューで酷評書かれるんだろうなあ」と観る前から予想できる感覚とか(笑)。


 内容はやはり、ターセム・シンのビザールな映像センスを存分に味わえるもので、バイオレンスというよりは残酷な描写が印象に残ります。
 そこは異常連続殺人をテーマにした『ザ・セル』の監督である、ということをしっかりわきまえてから観にいった方が安全かもしれません。
 ただしビザールとはいってもグロテスクではなく、そこまで怖い映像でもありませんでした。演出的にも、適度に恐怖を緩和するような配慮がチラホラ。
 「不死者の死」「人間の魂の不滅」コントラストがこの作品のテーマなわけですから、「死」を深く描くために残酷なシーンは不可避だったとも言えそうです。


 シンメトリックな構図から始まるファーストシーンからまず心を持っていかれますが、CGを活かした「作り物っぽい舞台」が演劇めいた面白さを醸しだすこともあり、そこはCM映像の作家らしいと感じるところ。


 そして最大の見所は、やはり金ピカ鎧を着たオリンポスの神々の戦闘シーン。
 「万能の神」らしく、自分用の武器を持たず、その場にある焚き木や鎖を武器化して戦うゼウスが超絶カッコイイ。
 他にアレス、アテナ、ポセイドン、ヘラクレス、アポロが登場しますがアレスとゼウスの超高速機動戦闘のアクションがたまらない美しさ。
 「スローモーション映像による超高速機動戦闘のカッコ良さ」で言うと『ザ・ワン』のアクションに匹敵するレベルと言って差し支えないでしょう。


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 また、ハイライトの戦闘シーンにおいては「神々の戦い」と「英雄同士の戦い」と「一般兵同士の戦い」を同時並行して描くことで、「神─英雄─人」の異なるレイヤーを重ねて感じさせる演出がテーマをよく表していてグッドでした。
 アクション映画好きなら、一度観て損はない映画だと思います。


 あとストーリー的には、ギリシア神話をモチーフにしているだけのオリジナルエピソードなんですが。
 そもそものギリシア神話ギリシア悲劇こそがスターシステムを利用した二次創作の集積」でしかない(ヘラの娘を妻にしたヘラクレスが十二神の一人に加えられた、という異説も英語版Wikipediaで紹介されている)わけですから、世界観がフリーダムな件についてはおおらかな目で眺めることをお勧めします。