『HUNTERXHUNTER』のアルカの能力のルールが覆い隠しているもの
タイトルに「の」が多いですね。
連載中の『HUNTERXHUNTER』、個人的には会長選挙の行く末の方が興味あるのですが……。
かりそめにも主人公であるゴン・フリークスを救うべく、その手立てを掴もうとするキルア・ゾルディックが実家に帰るアルカ編が進行中です。
そのアルカの能力は、「おねだり」と「お願い」で釣り合いが取られたややこしいルールがわざわざ設定されています。
いくら作者がゲーム的なギミック(知恵比べやギャンブルの要素)が好きとは言え、なんでまたイベントごとにこういうギミックを新たに組むのかなー、と不思議だったのですが、これって
「デウス・エクス・マキナとしか描きようのない新手のスタンド使い」
という能力バトル漫画の宿命に対し、
「代償と得るものの均衡」を必要以上に誇張したルールを付与することで
「ご都合主義的な都合の良さ」から目を逸らさせようとする試み
……としても評価できそうだなあと。
能力者の存在そのものは後付け設定でも(機械じかけの神であっても)、能力のルール自体に釣り合いが強調されていれば気にならない、ということですかね。
新手の能力者の起源を「過去のエピソード」に遡らせることで、これはポッと出の能力なんかではありませんよ、と印象づける努力も見て取れるかもしれません。
- ※補足:プロットとしては『ベストセラー小説の書き方』やハリウッド脚本術の原則にも忠実で、「困難なものごとを解決しようとしてより困難な事件に飛び込んでしまう」という手順を能力バトル漫画で展開していると言えるかもしれません。
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ちなみに先日、『HUNTERXHUNTER』は1巻を最初から読み返してみたのですが、やはり全体像を通してしか解らないような作品性・作家性が判明して面白かったです。
今月は「ニコ生PLANETS」で二度目の出演を予定しているので、その時にじっくり語れたらいいですね。