今期アニメの主題歌映像、ミラーニューロンとダンスアニメ
本編の感想を抜きにしたハナシですが。
今回は『C3 -シーキューブ-』のOPと『UN-GO』のEDがいいですね。
『C3』は左から右に向かってヒロインが走るという、尋常なアニメ演出のセオリーに反して違和感を出そうとする試みと、「体の動作を細分割して」ダンスを見せようとするカット割りがいいですね。
『UN-GO』は静止画中心の映像の中で、0:50あたりから始まるエフェクト作画が心地良い。
『C3』の「手首や足首の動作を分割して全身の運動を感じさせる演出」は、『RIDEBACK』のOPのバイク運転演出や、山内重保の『夢喰いメリー』演出を連想するかな。
バイク+バレエなアニメだった『RIDEBACK』といえば、『プリンセス・チュチュ』のバレエシーンを見て考えていたことも思い出しました。
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アニメでダンスを描くのって、ふだん見慣れない振り付けのされたポーズをいきなり全身から映すと、思ったよりも滑稽でひょうきんなニュアンスが先に出てしまいがちです。
人間の脳はつねに、ミラーシステムによって「画面に映るキャラクター」の姿勢と「自分」の姿勢を照らし合わせながらその運動を把握しようとします。アクション作品なら、そこから「疲れそう」「キツそう」「痛そう」などの体感を得たり、さらには同一化や感情移入もそこから促されます。
で、普通の人間は日常的にダンスのポーズなんてしないし、やるのも恥ずかしいと感じているので、いきなりダンスを始めるキャラクターを見てしまうと、ミラーシステムによる同一化が追いつかず、こそばゆい違和感も生じるし、「滑稽な他人事」のように映る、という仕組みがあると思います。
「うたプリ」のダンスが笑える、という人がいるのもそういう理由ですね。
そこで『RIDEBACK』のOPでは、手や足首でレバーやペダルを引く/蹴る動きをクローズアップして断片的に見せることによって、まず我々の各関節から先にミラーシステムの同一化を働かせ、人型バイクを通じて踊っているような動作に繋げ、しかるのち全身の運動であるバレエシーンを見せる……という構成になっていて「運動を体感」させるのが自然で巧い。
(※『C3』のOPでも、指や足先の動きから、「走る」という自然でイメージしやすい運動を介してダンスを描いていくように、『RIDEBACK』もコックピットに「座る」という自然な姿勢から始まって「体を傾ける」「上体を起こす」という運動を介してダンスに繋がっていきます。)
『プリンセス・チュチュ』でも「腕の先や足の先の動きから先に見せる」というカット割りは多用されているんですが、それをもっと徹底していればバレエのアニメとして更に洗練されたものにできたのかな、と考えたりしていましたね。