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泣ける『ぴちぴちピッチ』のボーカルソングTOP6

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まきだかずあき

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 テレビ東京系の少女アニメを振り返っているうちに、マーメイドメロディーぴちぴちピッチシリーズ(2003-2004年)の劇中歌にドハマリしてしまいました。
 ずっとヘビーローテーションで聴いてますが……なぜか説明できないくらい「グッ」と来るんですよね。
 涙腺に来るというよりも、喉の奥にこみあげてくるような感傷が……謎です。


 邦楽の理論については門外漢なんですが(ポップスに詳しい人なら色々語ってくれるのかも)、個人的に分析するなら、

  1. サビのメロディのくどいリフレイン
  2. 歌詞を一音ずつ区切ったり伸ばしたりするような、音節のはっきりした歌い方
  3. 音程の外れた歌声と、合唱のインプロヴィゼーション(即興性)
  4. 歌を聴くと敵が苦しむが、オーディエンスは敵しかいない

……のよっつが鍵なんじゃないかとアタリをつけています。


 「Legend of Mermaid」という曲(これがマーメイドの国の「国家」だそうな)のサビを例にとると、

七つの海の楽園 嵐の夜の後には 愛を伝えるため 命がまた生まれる
七つの国のメロディア 誰もがいつかはここを 旅立つ日が来ても 私は忘れない


……一行目のメロディと、ニ行目のメロディが全く同じな上に、「な・な・つ・の・う・み・の・らーく・え・んー」というように一音一音をはっきり区切って(しかも、たどたどしく)唄うので、よけいにリフレイン感が印象に残るのだと思います。
 そして、その執拗に感じるくらいのサビの強調が、ストレートに、グサッと心のツボに刺さるんです!
(でもこの歌い方って、一音ずつのキーが一定ですから、カラオケで唄おうとしたら結構難しそうな予感がします。)


 また、みっつ目に挙げたように「合唱(コーラス)」の要素も重要で、劇中ではソロよりもデュエット、トリオ、七人組などで合唱することが多い。
 その全員(の中の人)がプロの歌手ではなく(歌手じゃなくて、声優としてもキャリアの浅い人が多いのですが)、たどたどしいというか、みんな微妙に音程を外してやがるのですが、ソロで歌った場合はそのたどたどしさが初々しくてたまらんだけでなく、合唱したときは互いに外れた歌唱同士が「その場のアドリブで合わせている」インプロヴィゼーションを強く覚えさせるのです。


 TVアニメを長く観つづけている人なら、「TVアニメの最終回といえば主題歌のオールスター合唱バージョン」と考える人も多いと思います。

 ぼくの世代では伝説の勇者ダ・ガーンの「風の未来へ(合唱バージョン)」が原体験でしょうし、最近ではジュエルペット てぃんくる☆の最終回が記憶に新しいですね。
(余談ながら、てぃんくる☆の音響監督でもある岩浪美和氏が『トランスフォーマー』シリーズで十八番にしていた技でもあるようですね。)


 オールスターキャストによる合唱バージョンも、歌手ではなく声優が、しかも「プロの声優」ではなく「声の仕事の素人であるキャラクター」としてのナチュラルな歌い方を求められるために、元気はあっても音程は気にしていない、アドリブ重視の歌い方がやはりインプロヴィゼーションの感動を誘うものです。
 基本的にみんな歌声が微妙に合ってない『ぴちぴちピッチ』のコーラス曲は、そんな最終回バージョンのごとき「合唱」を常に堪能できるという魅力もあると思います。


 最後に、『ぴちぴちピッチ』のマーメイドプリンセスたちは、敵である「水妖」たちと歌で戦うのですが、「相手の歌を聴くと苦しむ」という演出によって歌の力が表現されることになります。
 つまり、互いの音楽性の違いによってダメージを与えているわけですが、これは基本的にマーメイドプリンセス側は「愛にあふれた歌であるほど強い歌」であり、敵側は「悪の心に満ちた歌ほど強い歌」という基準で成り立った歌合戦のはずです。
 しかし、その「愛にあふれた歌」を唄えば唄うほど聴いてる相手は苦悶の表情を浮かべるわけですが、しかもその敵以外にオーディエンスはいないので(マーメイドプリンセスはアイドル姿に変身しますが、大衆の前で芸能活動をしてるわけではない)、ニコニコ楽しそうに踊りながら歌っていても、別に誰かが自分たちのパフォーマンスを賞賛してくれるわけでもないという……。
 その上でしかも、耳を塞いで逃げていく敵に対する決め台詞が、笑顔での「アンコールはいかが?」だったりするあたり(※註:当たり前ですが誰もアンコールを求めたりしないのは承知の上です)、この子たちの愛と正義は「ガチだな」、と迫真に感じてしまいます。



 それほどな「揺るぎない歌への自信」こそが、彼女たちの歌に感動してしまうことのバックボーンになっていると言えます。
 敵キャラクターの唄う歌の方が技術的には上手い、というのは『ぴちぴちピッチ』の視聴者から良く言われることなんですが、「上手いだけにハートがこもってない」ように聴こえる(ように演出されている──音楽ジャンルがハードロック系というのもあるでしょうが──)のも確かで、マーメイドプリンセスたちの「多少調子っぱずれだろうが楽しそうにハキハキ唄っている」歌の方が、パワフルで頼もしく、そしてハートウォーミングに感じてしまうわけです。プリティーリズム オーロラドリーム的に言えばスターオーラを感じるということですね。

マーメイドメロディーぴちぴちピッチ』泣ける曲ランキングTOP6

 で、まさに誰得もいいとこなんですが、自分が特にツボった『ぴちぴちピッチ』の楽曲を挙げていきたいと思います。
 TOP6と言いつつ、順位はつけられないので好きな順、というわけでもなく、数も中途半端ですが……とにかくどれも良い曲です。

「Legend of Mermaid」

 先に挙げた「Legend of Mermaid」(国家)ですが、サビの繰り返しが印象的なだけでなく、「嵐の夜の後には 愛を伝えるため 命がまた生まれる」「星降る夜のファンタジア 溢れる涙と祈り」といった雄大で力強い歌詞も泣ける要素ですね。

「Super Love Songs!」

 いちばんヘビロテで再生していた曲がこれで、「ゆーめ・が・はじまる・すーぱ・らーいぶ!」「ひーか・り・と・か・げ・の・すーてーえーじ!」「あーい・を・つたえて・すーぱ・そーんぐす!」という、前述の魅力が凝縮されたサビが圧巻!というだけでなく、「ゆーう・き・を・く・れ・る・あー!いー!のー!うー…」というサビからオーバーラップして「あーい・を・みぎてに・すーぱ・らーいぶ!」とかぶさるBパートのダイナミズムは筆舌に尽くしがたい感動があります。
 「小さな体だけど…、負けない」のフレーズの部分も好きです。

「KODOU〜パフェクト・ハーモニー〜」

 イントロなどに『トップをねらえ!』の挿入歌(主演声優二人のデュエット曲)トップをねらえ!〜Fly High〜」と同じノリを感じる曲。
 アイドルソングとして共通のモチーフがあるのでしょうが、詳しくないのでよくわかりません。しかしカッコイイ。

「Splash Dream」

 マーメイドプリンセスのセンターである、るちあの持ち歌ですが、この曲に関しては、歌い手のハートがダイレクトに伝わってくるソロ曲がいいですね。
 これもまた「普遍の真実」「祝福のシュプレヒコール」「永遠に響く歌がある それは愛」といった、やたらとマッシブな歌詞のセンスがヤバいです。
 「すべてを捧げて 守りたい 愛だけを」と唄うあたりなどは、さすがは聖ルーシー(サンタルチア)に由来する名を持つヒロイン、という貫禄を感じます。

「Ever Blue」

 「Ever Blue」は波音の持ち歌ですが、リナとのデュエットバージョンがいいですね(CDとかでは聴けないバージョンのはず)。
 この歌もやはり「そ〜れ〜は〜エ〜ヴァ・フレン〜い・ち・ば・ん!」「たい・せ・つ〜な・も〜の・だ・か・ら!」「だい・す・き〜な・ひ〜と・が・い・て!」「だい・す・き〜な・ば〜しょ・が・あ・る!」「それ・は・エ〜ヴァ・ブル〜か・が・や・く!」「だい・す・き〜な・あ〜の・う・み・よ!」といった、執拗なくらいの同じメロディの繰り返しが胸に焼き付きます。

「希望の鐘音〜Love goes on〜」

 「7Mermaid+アクアレジーナ様バージョン」という、最大人数で唄うCD未収録バージョンが存在する歌。
 まさしく合唱向きの楽曲で、Aパートのサビの「強い者だけの 世界じゃないから」という、慈悲に満ちたフレーズが妙に印象深いです。

更新後の追記

 欠かせざる名曲「KIZUNA」を入れるのをうっかり忘れていたので、本文の中に動画を挟んでおきました。
 KIZUNAを加えておけばTOP7になってキリも良かったのに……惜しい。


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