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劇場版アンパンマン(2011年)は「復興」の映画なのか?

2011年映画「それいけ!アンパンマン すくえ!ココリンと奇跡の星」公式サイト

 先日は友達と、劇場版アンパンマンを観にいきました。
 『ジュエルペット てぃんくる☆』の島田満さんが、原作者・やなせたかしさんのメッセージのもと、脚本を担当されていたことで興味を持った作品です。


(※東北沖地震から間もない、3月16日の島田満さんのツイート。)

先日、久しぶりにアンパンマンのシナリオを書きました。原作者のやなせたかし先生は戦場で第二次世界大戦を経験し、大勢の人々が命を落としていくなかで、正義とは何か、長い間考え続けたといいます。そしてたどりついた答えは「正義とは、おなかがすいた人に食べ物をさしだすこと」だと。less than a minute ago via SimplyTweet Favorite Retweet Reply

そして先生はアンパンマンをうみだしたんです。おなかがすいた者を助け、いたわり、自分の顔をちぎってさしだすアンパンマン。どんなときも勇気をもち、自らの体をさしだす無償の行為でみんなを支えるのです。いま東北で食糧がたりず都内でパンが消える非常事態に、アンパンマンの正義を思い出します。less than a minute ago via SimplyTweet Favorite Retweet Reply

@gesukapper 今回、書いたのがちょうど、パンの話なんです。やなせ先生がパンを通して伝えたかったことは何なのか、沢山、考えたあとだったので、今回のことが胸にしみました。less than a minute ago via SimplyTweet Favorite Retweet Reply


 『すくえ!ココリンと奇跡の星』はそのまま観ると、「震災後の日本に向けた映画」のように感じてしまうくらい、 今の日本の状況と符合する、示唆するようなシチュエーションの多い映画でした。
 しかしこれは「偶然、今の日本を予見していたかのようなストーリーで上映された」という偶然の一致で片付けるよりは、根源的に『アンパンマン』という作品が、復興の力となるテーマを持っていたのだと考えればいいのかもしれません。


 やなせたかしさんが子供のころには関東大震災が起きていますし、戦争と戦後の日本も体験していて、その中の感情から生まれた作品が『アンパンマン』なのだとしたら、普遍的な災厄や、復興の意志に繋がるシナリオが『アンパンマン』の中に含まれるのはごく当然のこと、だったのかもしれません。*1
 災害によって、ご飯が不足する、飢える……というのはいつどこであろうと普遍的な危機ですからね。

――未曾有の国難といわれています。日本は復興できるのでしょうか


やなせ:(笑みを浮かべて)出来るのに決まってるじゃないか!あの戦争だって日本は焼け野原になって、原爆をニ個も落とされて人が何十年も住めないと言われたんだよ。それがあそこまで復興できたんだから。日本人は粘り強く、正しく立派に生きている人たちです。間違いなく復興できますよ!

やなせたかし氏 日本人の正義とは困った人にパン差し出すこと│NEWSポストセブン


 改めて、「『アンパンマン』ってこういうメッセージのお話なんだなあ」と実感できる映画でした。
 お話の展開としては「ここまでシンプルに描くことができるのか」というくらいにシンプルで、あくまで「子供にもわかるアニメにしよう」と徹底しているさまがうかがえて勉強にもなりました。
 上映はまだ続くようですから、皆さんにもおすすめです。

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サントラ 増岡弘 ドリーミング 中尾隆聖 長沢美樹 島本須美 戸田恵子 アンパンマンとなかまたち フレーベル少年合唱団 佐久間レイ 柳沢三千代

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*1:だからどちらかといえば、「戦後の米不足からパン食への移行」も連想したものでした。……こちらの方がよほど、政治的にうがった読み方でしょうけど