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自己管理のための『六韜・三略』

 先日、図書館から何冊も借りてきた本の中には『孫子』と六韜三略が含まれてました。


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守屋 洋 守屋 淳

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 『孫子』は以前からかじっていたのですが、六韜三略はちゃんと手に取るのは初めてです。
 とりあえず『六韜三略』の概要や、「三略」の部分から目を通しています。
 「六韜」も「三略」も成立時代の不明な本なんですが。
 すでに「戦わずして勝つのが理想」という孫子的な「不戦屈敵」主義が説かれていたり、「柔よく剛を制す」「高鳥死して長弓しまわれ、敵国滅びて謀臣亡ぶ」といったフレーズの出所だったりするのが興味深いですね。


 しかしなぜいま兵法書を読んでるかというと、まぁ仕事や組織運営に利用しようというより、自己管理の参考に、だったりします。
 軍事論というだけでなくリーダー論としても書かれている『孫子』や六韜三略ですが、そこで仮定されている「国家」という組織は、「自己」に置き換えて応用することもできるわけです。


 例えば東洋医学の古典では、心臓を君主、肺を宰相、肝臓を将軍、胆臓を裁判官、胃を大蔵相……などと人体内部を国家に見立てて説明したりもしますから。


 ぼくは以前も書いたとおり、体調管理の必要性にいま悩まされています。
 一ヶ月くらいかけて、「こう生活すると楽になれるかな」というパターンを模索してきましたが、今度はその生活パターンを「いかに実行しつづけるか」という運営意識が不可欠になってきます。


 症状を「治して」終わり、原因をやっつけて終わり、というタイプの闘病はしていないのですから、「不断なく効率よくつづける」という問題が常に重要なのは当然のことですね。

よく「中国医学では、癌は治らない」という言い方をする 人が居るが、これは正しい。癌の進行をくい止めるのが、主であり、それを治すということは従で あるからである。
(中略)
そこで古代の武術家は、闘って勝つことより、戦いを回避する 方法を模索した方が良い、という事に気づいたのである。『孫子』には、既にこうした発想が 見られる。経営者の中には『孫子』のファンという人も居て、経営戦略に『孫子』の思想を使おう とするのであるが、これは『孫子』の思想という立場からすれば、全く見当外れと言わねばなるまい。 『孫子』は闘わないことを最上と考えたのであるから! 武術は闘争に勝つためのものではなく、 医療は、病気を治すためのものでは無い。これが、古代中国人の到達した英知なのである。

公開日記ページ - Fumy Web Diary


 これは先の日記でも引用した文章ですが、「人体を管理して何かに立ち向かう」という点においても兵法書は示唆するところが大きいです。

.@atsuji_yamamoto まさに、孫子の兵法の極意ですね。消耗しない、無理しない、戦わない、弱いところを大事にして、強いところだけで攻める…。ことばにしてみるとめちゃくちゃ当たり前のことが難しいという。人間、なぜか弱いところで突っ張ってしまったりless than a minute ago via SOICHA Favorite Retweet Reply


 これはTwitterで、処世術的な話を山本貴嗣さんがされていたときに書いたPostですが、兵法に謂う「国土を消耗させない、国民に無理をさせない、戦いを仕掛けない、弱きは温存し、強きは活かす」という考え方は、人体という一組織(国家)の総主たればこそ心がける意義があるのだろう、と考えているところです。


 そんな簡単に自己啓発ができたりはしないでしょうが、勉強はしないよりした方がマシ、ということですね。