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マンガ夜話屈指の回『ハチミツとクローバー』

 夕べ放送された「BSマンガ夜話」の『ハチミツとクローバー』回が、歴史に残るくらいの素晴らしく充実した内容で、感動です。


 『漫画をめくる冒険』上巻や、ユリイカ荒木飛呂彦」号の拙論、ユリイカ「マンガ批評の新展開」号の「夏目・宮本・泉鼎談」と『3月のライオン』論などを先に読んでいた人達にとっては、また別の視点での感動があったんじゃないでしょうか。

漫画をめくる冒険―読み方から見え方まで― 上巻・視点漫画をめくる冒険―読み方から見え方まで― 上巻・視点
泉 信行

ピアノ・ファイア・パブリッシング 2008-03-14

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 ぼくなんかは番組が終わった後、思わず深夜まで感想チャットをしていたくらいです。
 水面下で行われてきた色々なものが、一気に繋がって表に噴出してきている感じですね。


 夏目房之介さんが最新の表現論でハチクロを語り、佐藤大さんが反復対比構造*1ハチクロを語り、しかもそのふたつの切り口が融合して作品のテーマにまで届いていく過程はまさに圧巻。
 あれって「語り」の方法論が、『漫画をめくる冒険』や普段ぼくがローカルでやっている漫画語りと全く同じだったんですよね。もっとも、「マンガ夜話を目指した漫画語りをやってきた」のがぼくなので逆と言えば逆ですが……。


 他にも具体的にコメントしたいことも多いんですけどね。
 ちなみに今回のハチクロで試されていた方法論は、応用さえすればスクラン浦沢直樹の『MONSTER』にも使える普遍的なアプローチでもあるのだというのも特筆しておくべきことでしょう。


 はっきり言ってしまえばあれです、「漫画読みとしての浦沢直樹」に刺激を与えられたら表現論としてこれは最高ですねと。ハチクロって、まさに浦沢直樹が「マンガ批評の最前線」の中ではっきり批判していた表現を先鋭化させて用いているのですが、にも関わらず……これだけの絶賛を浴びている、という事実が見えてくるわけですから。

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*1:最近ではGiGiさん(http://d.hatena.ne.jp/GiGir/)が展開している「情報圧縮」ですね。GiGiさんは是非今回の佐藤大によるハチクロの読み方をまとめてウェブに載せるべき。あと、その意味でエウレカセブンは観ておいた方がいいですね