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漫画購入録

izumino2006-12-24

貧困魔境伝ヒヤパカ貧困魔境伝ヒヤパカ
山野 一

青林堂 1999-12
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 山野一『貧困魔境伝ヒヤパカ』の古本を通販でゲット。
 昔、『電波系』という本で紹介されていて知った時からずっと読んでみたかった本だったりします。

電波系電波系
根本 敬 村崎 百郎

太田出版 1996-09
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『電波系』p23より

山野一―一九六一年福岡県生まれ。この世の〝真理〟を描く数少ない漫画家の一人。かの〝正義〟のヒト、小林よしのりも隠れファンだそうな。『混沌大陸パンゲア』(青林堂)『どぶさらい劇場』(スコラ)など、電波と貧困をモティーフにした名作が多いが品切れも多いのが残念。

 これで山野一作品は「ヒヤパカ」「パンゲア」「どぶさらい劇場」「四丁目の夕日」が揃いました。次に欲しいのは『夢の島で逢いましょう』あたり。
 どれも思いっきり絶版してますが*1、復刊してほしいものです。


 要するにガロ系の漫画で、グロテスク・サイケデリック・無情さ・汚さ・性悪説・貧困のイメージに埋め尽くされた作風なんですが、その「異様に真摯な容赦の無さ」が、妙な癒し効果すら生んでいるような漫画です。
 普通の漫画というのは、スタイリッシュであったりとか、ハートフルであったりとか、ビジュアル的に格好良かったり可愛かったり、テーマとして性善説的な「救い」が無かったりしなければ「商品」として成立しない……みたいな所があると思うんですが、「そういうもの」が「一切無くても」面白い漫画ってのはあるんだなあということが実感できて、なんか胸のつかえが取れるような気がするんですね(笑)。*2
 自分にとって山野一の漫画というのは、そういう価値を持った漫画だったりします。
 一般にオススメはしませんが、漫画の深淵を覗き込みたい人は是非どうぞ。

*1:『四丁目の夕日』はまだ売ってるっぽい

*2:かといってただのエログロナンセンスや、単なるアンチハッピーエンドの物語でもない、不思議な寂寥感や無常感を感じさせられる所が異質だと思います。例えば、過酷な肉体労働や、針のむしろのような人間関係を長期的に体験したことのある人は共感できると思うのですが、ストレスが人間のキャパを超えて「心が凍る」(としか言いようが無い)状態に入る様子を描くのが凄く巧い人です