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『魔法先生ネギま!』第10話「X時間目」

 今回は結構楽しんで観てましたね。
 いい所と、悪い所が混淆しているのがアニネギの特徴で、つまりそれは「作品のテイストを統制する仕事」を監督が怠っているということに等しい。スタッフが強化されたからといってどうにかなる問題では無いことに注意。


 で、いい所の話ですが、「週刊誌と30分番組のメディアの違い」を初めて上手く活かした回だったと評価していいでしょう。
 このエピソード自体は、週刊誌の連載だと、前後編にしてもまだページ数が足りなくて、いわゆる「ラブひなメソッド(最後の方にヌードを出して強引にオチをつける手法)」に頼らざるをえなかったんですけど。TVアニメの場合、幾分余裕のある尺を使ってラブひなメソッドに陥るのを避けつつ、ネギの精神的成長と明日菜との信頼関係の掘り下げに時間を割いていて、脚本的には誠実な印象を受けましたね。
 多分、原作で同じことをやるには、もう少し余分のページが要ると思うんですよね。
 それに、原作では「まとまりの無いクラスをまとめる」為のスポーツ対決だったんですけど、アニメではエヴァンジェリン編やなんかの事後ですから、既にネギは明日菜達クラスメイトの信頼を得ているわけで、これは「クラスのまとまりを確認する」為のスポーツ対決に変化しているんですね。
 で、イベントとしては「絆の確認」を描く方に向いてると思うんですよね、このエピソードは。原作だと、何の布石の無いままいきなり勝負が始まって一致団結するもんだから「あんまり面白くない」んですけど。
 あと、明日菜×いいんちょの関係性を掘り下げていたのは、アニメが「原作の補完」の役割を果たしていて良かったな。あの二人のキャラ設定からすれば、あんな感じにいちゃつく描写はしょっちゅうあって然るべきなんですけど、原作じゃ(他にやるべきことが多すぎて)割と省略され気味ですからね。これも週刊連載とTVアニメの差から生まれたものだと思います。
 こういった週刊連載とTVアニメの差を、次回の長谷川千雨*1でも活かしてくれたら……、と期待したくなるなるんですが、さてどうなることやら。


 次に、悪い所の話。
 作画がどうのこうのというよりも、ホント色彩センス無いよなぁ、この番組の色指定の人は。色さえ変えれば、五割増しに見栄え良くなると思う(笑)。
 「それって反則でしょ」っていうギャグはまき絵のリボンでオチがついてる筈ですから、ハカセがメカを出すのはかなり余計。前後の整合性を考えずに演出するとこうなる、という例。
 「辛いことが存在してはならない」「女の子はみんな可愛い」筈の赤松ワールドにおいて、英子先輩をイヤな人として描くのはルール違反。なおかつ、その英子先輩にキモメン先生の写真を出させたネタに関して「美醜の“醜”をダシにした笑いを赤松ワールドでやられると心臓に悪い」というのはみやもさんの談。


 「イヤなものを出すことでドラマを作る」っていう手法を取ることが、「イヤなものを出さないでドラマを作る」スタイルに比べてずっと安易で楽な方向に逃げたスタイルなんだ、ということが良く解るんじゃないかと思います。*2

*1:原作ではこれがまた、ラブひなメソッドのおかげでオチがなおざりにされている

*2:かといって、イヤなものを出さなきゃいいって問題でも無いですが。要はバランス感覚ですね