HOME : リクィド・ファイア
 移行後のはてなブログ:izumino’s note

山内直美/氷室冴子原作『なんて素敵にジャパネスク』全11巻

 原作は未読ですが、氷室冴子のテイストを感じることはできて、面白かった。
 平安貴族の間における古風極まりない社会空間に80年代チックな「自由な恋愛」「理想の結婚」などの近代的恋愛観を投げ込むことでパワフルな「少女」の在り方を照射せしめ……云々、なんていう評論はとっくの昔になされているでしょうから、しませんよ。
 あえて今語るとしたら、うーん。
 平安貴族達が「歌」をやりとりすることで恋のかけひきをするっていうシステムは、サイト管理人同士のコミュニケーションを見ているようで、微笑ましく映りました。相手の顔も見えないのにテキストの文体だけで萌えてみたりとか、メールのレスが来ないことでいちいち気に病んでみたりとか(脳内変換)。しかも平安時代の人達は一様に精神年齢が低いので、尚更厨房っぽく見えます。


 個人的には、本編よりも、最終巻に付いていた「小萩のジャパネスク日記」*1にツボを刺激されてました。やはりというかまぁ、自分は女の子と女の子の話が好きらしいです(百合に限らず)。
 あと、本編がミステリを主軸に進行させられていることといい、「小萩のジャパネスク日記」における少女間の関係性といい、この作品も今野緒雪の「引き出し」のひとつとしてストックされていたのだろうなあ、という源流探しもできますね。

*1:ヒロインの女房(この「女房」は今で言うと侍女とかそういう意味)が、一生ヒロインにお仕えします、と決心する話