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今、神to戦国生徒会が面白すぎる

神to戦国生徒会とは

 ボンクラ漫画読み仲間である加納さん、みやもさんとの間で「今一番面白い」という話題で持ちきりなのが、あかほりさとる原作、高田亮介作画による『神to戦国生徒会』(週刊少年マガジン連載)です。
 あまりにも面白すぎるので、少しでもそのアツさを伝えられないか、普段は使わないスキャン画像を交えて紹介してみたいと思います。 


 「神to」は特に4週間ほど前からの展開が素晴らしく、主人公に与えられた武器の名前が「聖刀 神打多(かんだた)」。平成の世に「聖刀」……。そして何故カンダタなのか。
 でもこの時点でぼくの中の小学生マインドが刺激を受けまくり。
 しかもこの聖刀、主人公が使いこなせるようになる為に「持ち主の力を刀に認めさせる」というイベント(具体的には地面に突き刺さった刀をひっこぬく)をクリアする必要があるのですが、実はこれ、主人公一人の力で抜けないんですね。
 おや? じゃあどうやって抜いたのかというと、流とかおるという仲間二人と協力して抜いたら抜けました


 そ、それは主人公の力を認めさせたことになってないんじゃあ……。


 でも仲間と協力して戦うことのアツさは良く伝わってきますよ! まぁ理論は破綻しまくってますが。
 その後の戦闘もまた素晴らしく、神打多を手に入れた主人公の戦い方といえば……


ただ横を通り過ぎるだけ。
 勿論この後主人公の能力が発動して圧勝するのですが、勝利後の主人公に対するメインヒロインのコメントが……



「なんて美しく残酷な獣・・・・!!」
 こういう小学生が考えたような台詞回しがたまらなくキます。あと聖刀、デカすぎ。持ち方もなんかヘンだし。


 当時の加納さんの感想が以下のようなものでした。

 聖刀『神打多』。聖刀ですよ。そしてあの形状、能力、コマ割り、構成、台詞回し、完璧すぎる。なんでこう俺のアホの子回路にギュンギュン来るんだろうか、この漫画。

完璧すぎるアホ漫画

 そう、神to戦国生徒会はハッタリの効きまくったアホ漫画として完璧すぎるのです。
 そして、この回のラストは「5週前に倒した敵ヒロイン二人が主人公のベッドで添い寝してる所を幼馴染み二人に目撃される」所でオチが付きます。
 学園伝奇バトルものだと思ってたけど、実は「学園ハーレム漫画」だったのかコレ……。しかもヒロイン集団の中に違和感なくショタキャラが溶け込んでいる所もポイント高いです。


 さて、この週を境にして、神toのやりすぎっぷりは更に加速。
 はっきり言ってここ数話の展開は神懸かっておりまして、一話につき数回は読む側がずっこけるポイントが用意されています。立ち読みや飲食しながら読む時はマガジン落っことしたり、お茶を吹き出したりしないように気をつけましょう。
 この漫画のキャラは獣化能力を持っているのが特徴なのですが、「豹」の力を持ったヒロインがおっぱいを触られた時に「にゃん」と言うのはまぁいいとして、「羊」の力を持ったヒロインがおっぱいを触られて「めっえぇー」と口走るのは流石になんか怖い
 そして何の脈絡も無く主人公にメイド服を着させる「メイドさん大作戦」をかましたり、それまでどう見ても男性キャラとして描かれていたキャラクターが「実は女でした」という展開が待っていたり(絶対に伏線とか考えてない)、その実は女でしたキャラの設定が妙にネギまの某人気トップヒロインと被っていたり(同じ雑誌の漫画なのに……)、主人公に「メインヒロインとキスすると変身して強くなる」「メインヒロイン以外の女の肌に触れると変身が解けて弱くなる」という恥ずかしい新設定(どっかで聞いたような……)がいつの間にか出来てたり。


 また、主人公は周囲に頼まれて生徒会長代理という役職に就かされるのですが、その時の次回予告のアオリに注目!


「武蔵の戴冠式に起きた異常事件!」


 生徒会長の座に就くのに「戴冠式」……!
 言うに事欠いて戴冠式ですよ。就任式とかじゃないんですか。
 そしてその戴冠式当日が描かれるのが今週連載分なんですが、3週間前にわざとらしく引かれた伏線(脇役の背中に敵の体の一部が張り付く)を堂々とそのまま使用したり、ポッと出の脇役ヒロインがいきなり死亡(演出が『金田一少年の事件簿』)したりと、ひとつひとつのネタがクオリティ高すぎな上、予想のつかない展開の連続。
 めくりや大ゴマも、インパクト重視でここぞという所に(主に間違った方向で)使われるので破壊力高いです。
 これだけ「ページをめくる楽しみ」を味わえるスリリングな少年漫画は、ここ最近ではそう無かったと言えるでしょう。自分の中では最近打ち切りが決まった某ジャンプ漫画を超えましたね(アホ漫画としては)。


 しかしまぁこれでもギリギリ「少年漫画的なアツさ」も維持しているのが神toの最もハラハラする所でもあります。主人公は一応自分の信念の為に戦っていますし、ヒロインは薄幸だし、周囲を取り巻く状況も適度に因縁深くて面白いのですが、いつこのドラマがバカテイストに浸食されて破綻するのやら、という。いやもう既に軋みが見えかけているんですけどね
 しかし、だからこそ神toは今一番面白い。
 そう、一言で言えば「ジャンル意識に無頓着な漫画」だけが持つ予測不能な面白さ──。「巧さ」や「賢さ」は決して無いが、新鮮な驚きがそこにはある!

漫画家、高田亮介

 そんな神toの作画を担当しているのが新人漫画家の高田亮介なのですが、今月発売の『マガジンSpecial』にインタビュー記事が掲載されています。
 あかほりさとるが適当に酒呑みながら書いたアホな脚本に仕方なく絵を付けているだけかと思いきや、実はノリノリで描いているらしいということが良く伝わってくる内容です。
 作者が照れずにノリノリで描いている漫画というのはそれだけでも勢いがあるものです。件の「メイドさん大作戦」なんかも、狙ってやったら鼻につくネタになりそうなものですが、「素」なんですよね、この人の場合(今現在、人生で第二期のオタクブームが到来しているらしく、メイド服描くのも楽しかったとのこと。ピュアだ)。


 特に驚きなのが、以下の発言でした。

あと、自分でキャラの裏設定を勝手に考えて暴走しがちです(笑)。流が実は十人委員会の一人だったとか、最近では、天田君が実は女だったという設定とか。

 ええっ! っていうかむしろ、神toの面白い部分は殆ど高田亮介のアイディアだったりするんじゃあ(笑)。
 あかほりあかほりで「面白いから、それでいこう」とあっさり通すあたり非常におおらかですね。ライブ感覚すぎ。というか原作者適当すぎ。
 他にも、漫画を描く時に気を付けていることを聞かれて「見せ場の見開きを最初に決めて、そこが盛り上がるように描いていきます」という、凄い大味なコメントを返すあたりとか、妙に好感の持てるナイスな漫画家です、高田亮介は。
 ぼくはあかほり原作の漫画ではなく、高田亮介の描く漫画として神toを応援しています。まぁ、あかほり作品として見てもここ数年来の大ヒットなんですけど。


 あと、どうも編集者の発言を信用するなら、神toは読者に大人気で単行本もバカ売れらしいのですが……いや信用してますよ。きっと。小中学生のセンスにはスマッシュヒットしているに違いない。そう思いたい。
 神toつまんないよとか打ち切れとか痛いネタマンガだとか言っている人達は、目の肥えた漫画オタだけに違いない……と!(言い過ぎ)

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余談ですが一言

 久米田康治がマガジンで対決する作家って、赤松健よりもあかほりさとるの方が適当なんじゃないだろうか。


 妹選手権の人がいじってくれなくなりましたしね。>あかほり