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 移行後のはてなブログ:izumino’s note

『ふたりはプリキュア』終了後のまとめ(その3)

  1. http://d.hatena.ne.jp/izumino/20050205#p1
  2. http://d.hatena.ne.jp/izumino/20050208#p1

 その2でちょっと脇に逸れてしまいましたが、しかしそれを踏まえた上で続きです。


 「友情パワーで日常を守るお話」ということですが、つまり戦士としてのプリキュアは「女の子がふたりで協力すれば、大人にも打ち勝つことができる」ということを繰り返し繰り返し実行してきたわけです。なぎさとほのかが仲良くなっていけばいく程、友情パワーの説得力は増していきます。それに、彼女達はバトルを通してでも日常を通してでも二重に仲良くなっていく、ということが、なぎさ視点、ほのか視点を交錯させながら描かれていきます。
 この「友情パワー」というのは子供の目から見ればそのまま親友同士の連帯感の強さということですし、オタク的な視点から見れば百合カップル同士の百合パワーだとかそんな風にも受け取れるのですが、まぁ、これはどっちでもいいでしょう。どっちにしろ、「理屈じゃない凄いパワー」が映像的に感じ取れればいい話なので。


 そして毎回、「バトル→勝利」の男子的カタルシスではなく「バトル→日常回帰」の安心感を視聴者に与えるような演出が目指されてもいました。毎回々々、物語冒頭で「前回のバトルの粗筋」が特に意味も無く回想されるのは、「バトルから日常を取り戻して、現在がある」ことを強調する為でもあったのでしょう。


 ただ少し問題だったのは、その「守るべき女の子の楽しい日常」を初期はあまりうまく描けていなかったということ。これは脚本に成田良美影山由美といった女性ライターを中心に据えていくことで後から改善されていきますが。
 それと、番組前半で日常、後半でバトルという水と油のような組み合わせはスタッフも処理を持て余していたような所があって、この形式が手法的に確立されて安定するまでにもかなりの時間がかかっています。
 ここらへんは番組の企画自体が見切り発車みたいな所があってなんとも言いにくいのですが、スタッフがコンセプトを意識していてもなかなかそううまくコンセプト通りのフィルムにはなってくれないもんだよ、ということが表れていると思います。前例の無い新しいジャンルに挑戦している以上、こういう失敗はつきまとって当然だとも言えますが。
 逆に言うと、失敗はスタッフの経験値として蓄積されていくものですから、やはり後に行くほど安定していくし、続編のマックスハートに至っては初期設定面での問題点が改善されているようにも見えます。*1


 さて、1,2クール目(ダークファイブ編)のプリキュアは友情パワーを積み重ねることで、日常を脅かす最大の敵であるジャアクキングを一度倒します。当然、敵達は協力するということをしないのでプリキュア達には勝てない、という対比を込めつつです。
 この時点ではまだ問題が積み残されていて、プリキュア光の園のクイーンの力を借りなければジャアクキングに勝つことができなかった。また、友情パワーではキリヤという敵を救えなかった、というアンチテーゼも残しています。


 続く。

*1:例えば、人の目を気にせずバトルできる空間を用意する、解説キャラをレギュラー化させるなど